企業研修の罠に落ちない為の3つの確認点

企業研修ネタが盛り上がっていたので思いつくままに書いてみました。

企業研修はどの企業でも行われているが、多くの場合研修専門の企業にアウトソースされている。

ここで問題になるのがその企業研修が、有効かどうか、つまり成果があるものなのかどうか?は案外レビューされていないことが多い。

悪いのは誰? - ある無人島漂流の物語 - (旧姓)タケルンバ卿日記避難所
はてなブックマーク - 悪いのは誰? - ある無人島漂流の物語 - タケルンバ卿日記
から派生して様々なコメントやエントリーが百花繚乱となっているのを見て、企業研修は聖域化されているとして諦める方が多いと感じた。

私が思うに研修に参加する以上は、ビジネスとして捉えるという観点が必要だと思う。
要は、研修という枠の中でこじんまりとして「会社が悪い」とか「設問の意味がわからん」というようなストレスを溜めるのではなく正々堂々と意見表明をして構わないと思っている。

ではどうするか、の前に私が企業研修を行った経験から、研修に必要な条件を語っておきます。

企業研修が実施されるまでに研修(を受注する)企業と(研修を発注する)実施企業で詰められているべきこと

目的:
研修によって、会社が「何を得て、どのようなに変化、持続していくか?」が明確にする。
大きな範囲では、経営者の意向や企業理念・戦略から事務処理方法に至るまで、どのように関係しているかという事を明確にする。

対象者:
目的に応じてどの階層(役職、年齢、性別、地域など)をターゲットとするかを明確にする。
また対象者が「自分に必要な研修である」という認識を持たせられるかどうかの啓蒙活動も重要であり、人事などの主催部署が必ず押さえるべきポイント。

内容(コンテンツ):
目的に応じたコンテンツであること、充分に学習が可能な量であることを明確にする。

日程・場所:
対象者がスムーズに学習できる日時、拘束時間、場所であることを明確にする。

講師・スタッフ:
対象者がスムーズに学習できる事に加え、突発的な事態(欠席、遅刻からクレームに至るすべて)に対して充分に対処が可能である講師・スタッフであることを明確にする。
もちろん会社の意図をくみ取るのが大前提。

仕上がり像:
これは参加者には公表されないことが多いが、研修を受けた参加者がどのように変化しているかの理想像をモデル化し、明確にする。

以上が大雑把なところで、これらが明確になっているか、いないかによって研修の成果は大きく変わります。

企業研修においては、残念ながらひどい講師や内容のものもあり、上記の項目が曖昧または全く考慮されていない場合があります。研修を提供する講師と発注する会社(人事など)のお互いの自己満足の世界が繰り広げられる危険性があるのです。

ではどうすればよいのでしょうか?

1:疑問点、不明点、納得できない点は「その瞬間」に講師に確認する。

研修中は、どうしても質問しにくい雰囲気ですが、勇気を持って質問しましょう。
あなたがわからないのはあなたが理解できていないのではなく、講師の説明が不十分なのです。
もしその質問によって講師が納得のいく対応をしてもらえないと感じれば、それも伝えて良いでしょう。
講師は常に突発事態に対応できるスキル・知識・経験を持っている前提ですから、それができないということはクオリティが低い研修であるということで、発注側として問題提起するぐらいの気構えは必要です。ただしクレームや感情をぶつける表現にならないようにしましょう。淡々と思ったこと、感じたことを伝える方法です。

2:自分の自慢話や関係ない話が多い講師にはその話をする意図を確認する。

コンテンツの構成上、講師の経験談が話されるのは有意義な情報になることも多いです。
しかし、延々と自慢話のように続く経験談をすることはプロ講師としてはありえません。

一つの視点として、限られた時間の中で準備されたコンテンツを消化しきれない事態が見込まれるからです。参加者にはわかりませんが、講師は時間調整の為、準備されたいくつかのコンテンツを省くケースがあります。これでは本来学習するべき内容が削られたということになります。
もう一つの視点として、もともと準備されたコンテンツの量が少ない、よって自分の話で間を持たせるというものです。
このような講師を送り出す研修企業は、顧客に商品を納品する上で、部品が欠落したものを納品するのと同じです。

あまりにも関係ないような内容を長くしゃべる講師には、その話も研修内容なのか?意図は何なのか?を聞くことは失礼ではありません。費用は自分が属する会社が払っているのですから研修を有効に使う権利があります。

3:(体験型研修で)研修中の発言、アンケートの記入内容は会社側に伝えられるのかを確認する。

体験型研修の場合、通常であれば、研修中の発言や動作は会社側に伝えられないという約束をして研修に入ります。それは参加者がリラックスすることと純粋な学習意欲を培うためです。
研修のプロならば会社が監視している状態では研修効果は薄いということを認識していますし、それを言葉にして明確に参加者に表明します。
アンケートに関しては会社側が見る、見ないを明確にします。(実際には見るケースが多いです)

自分の会社がこっそり講師から報告させるようであれば、その会社の未来はないでしょう。でも規模が小さかったり、オーナー経営者だったりすると、実は知りたがります。
そのため研修企業は、事前にそのルールや考え方をきっちりすり合わせておかしなことにならないようにすることにも気を使います。

よって会社への報告に関して確認する行為は、講師からみれば学習意欲が高いということで決してネガティブには捉えません、気になったら確認しましょう。
基本的には最初のあたりで講師から説明はあります。
ちなみに私が過去企画したすべての研修では同席の人事の担当者がいれば全員の前で「研修内での発言は守秘義務として口外しない」宣言をしてもらいました。

以上ですが、とにかく思ったことは講師に聞くということが最も有効です。
準備が整っていない、変な意図があると途端に化けの皮がはがれます。